じっくり話をしたのはこの日が初めて。
だから勝手に記念日化。

ずっとノートに書いてたのをこっちに移します。
いつ誰にそのノートを発見されるかわからないから。
いつも酔っ払って書いてるから、管理もずさんだし
でも書かずにいられないし。
覚えておきたいんだよね、毎日何があったか。
今までの私たちとこれからの私たち。
これから、ってあるのか謎だけど。
考えてるだけだと暗くなるけど、書けば結構さっぱりする。

私はチーママ。
まだ正式ではないけど。襲名は3月の予定。
小さなスナックで働いてます。本業です。
副業に「主婦」ってのもあります。
なぜ主婦が本業じゃないかと言えば、別居中で1人暮らしだから。
子供達も連れて行かれました。
離婚は検討中です。まだお互いに決める段階じゃないと思って。

「チョコ、いつ取りにくんの？」
いつもどおりの荒っぽい声で電話する。
ケイはお客。4歳下で、妻あり子供あり。
半年前に初めて店に来て、それからちょくちょく飲みに来る。
他の店でも飲んでる。ほぼ毎日飲んでる。
元々どの女の子が好きだからとかの理由じゃなくて
ただ酒が飲みたいから来るだけの、まあ言ってみれば
「簡単な客」だったので、私がずっと接客してて。
すっかり男友達みたいになってたけど、
本当は私は最初から大好きだったのだ。

すっごい感じ悪かったけど。
笑ってるけど態度悪いし、目付き悪いし。
でもその失礼な雰囲気がすんごいツボに入った。
元々毒を吐くタイプが好きなんだよね。
で、痩せててメガネで顔もツボ。
これはまずい。ハマるに決まってる。
でもケイは私に下心もないし、このまま私が黙ってれば
何にも起こらないよ。

バレンタインのチョコをお店で用意してあったので
それを取りに来るように営業電話。
「え〜、もう家帰るとこなんだけど・・・
　気が向いたらな〜」
じゃあ来ないな。一人で来たことないし。
今月顔見てないからそろそろ会いたいんだけど。

と、思ってたら30分後の登場。
1人だよ。驚いた。しかも初めてシラフのとこ見たよ！
「仕事の車置いて、わざわざ乗り換えて来たんだぜ。
　俺、偉くない？」
って、飲み屋に来るのに車だってところが偉くないから。
早い時間で店も暇だし、これまた初のカウンターで
落ち着いて1対1で飲む。
ママは奥の客に付いてる。
「休みの日は何してんの？今度さ、飲みに行く？」
やばい！他の客から言われたらげんなりするような台詞も
あんただと嬉しいよ！それがやばい！
「えっとさー、あの子連れて来てよ。前ここにいた若い子」
・・・はい？サーッと血の気が引いた。
「ミホちゃん？あんた、あの子狙いだったんだ。
　知らなかったわ・・・」
からかうような口調で言ってるけど、涙目の私。
やっぱ若い子がいいのね、そんな気はしてたし、
そういえば去年ミホちゃんだけアフターに誘われてたっけ。
「違うよ、俺じゃなくって。ジュンがさ。
　去年からあいつら付き合ってんだよ」
はあ？それは知らなかったです。いいんじゃないの。

そうやっていつもどおり他愛もない話をして、
「自分で食べないなら子供のおやつにしな」と
チョコを渡して別れた。
ごめん、それ、本命チョコなんだよ。ホントは。